障害年金の請求を社労士に依頼した方がいいケースと依頼しなくていいケース〜その2

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

前回は、障害年金を請求する際、社労士に依頼した方がいいかもしれない(手続きの進め方や請求内容により不利益になる)ケースについて書きました。

今回は社労士に依頼してもしなくても結果が変わらないと思われるケースについて書きます。ちょっと長いので、ナナメにでも読んでいただけると幸いです。

障害年金の請求を社労士に依頼した方がいいケースと依頼しなくていいケース〜その1

社労士に依頼しても結果が変わらないケース

「その1」でも書きましたが、人工透析治療を受けている場合、障害年金の等級は2級とされています。

障害の種類や状態により、法令や障害認定基準で明確に等級が決められているものもけっこうあって、これらに該当する場合、診断書や病歴・就労状況等申立書の内容にかかわらず、等級は変わりません。

こういった、数値や状態で等級が決まり、かつ初診日の証明も問題なく取れる場合(初診医療機関のカルテが残っている場合)は、社労士が入っても結果は変わりません。

社労士に依頼するメリットとしては、年金事務所などに行く必要がない、書類作成をする必要がない、社労士によっては医療機関への書類依頼や受け取りを代行してくれる、手続きが早く進むことが期待できる、などが考えられますが、一般的にはデメリット(=報酬)の方が大きいかもしれません。

自分でなんとか頑張って動けるとか、代行してくれるご家族などの援助者がいる場合は、社労士を依頼するまでもないと思いますので、基本的にはご自身かご家族などで手続きを進めることをお勧めしています。

明確に等級が決まっている障害以外の場合でも、主治医や病院のワーカーが非常に詳しいとか協力的であるなど、ご本人を取り巻く状況によっては、ご本人やご家族には留意点などをじゅうぶん伝えた上で、周囲にご協力をいただきながら手続きされることを提案することもあります。

法令や障害認定基準で明確に等級が決められている状態とは

障害年金の等級は、法令(以下、便宜的に「等級表」と書きます)で定められています。

障害年金に該当する状態(国年令別表/厚年令別表第1・第2)

視力や聴力で明確に等級が示されているもののほか、たとえば「両上肢のすべての指を欠くもの」(1級4号)のような場合は、この表だけで何級に該当するかわかりますが、これが「両上肢の機能に著しい障害を有するもの」(1級3号)となると、どういう状態を指すのか、ちょっとわかりにくくなります。

さらに、「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(2級15号)となると、なんのことやら、もうお手上げです。

この表の項目がそれぞれどういった状態を指すのか、あるいは個々の障害の状態がこの表のどこに該当するのかは、障害認定基準である程度具体的に定められていて、たとえば人工透析を受けている状態は2級に該当しますよ、ということもここに書かれています。

疾患の種類は膨大で、それによる障害状態というのは本当に様々ですから、全ての障害状態について、この基準で明確に定めることは不可能ですが、それでも、「人工透析を受けている」とか「心臓ペースメーカーを入れている」というように、ある程度、状態がハッキリしているいくつかのケースについては、「何級ですよ」ということが、あらかじめ定められています。

一定の状態により障害等級が明確なケース一覧

ここでは、等級表に明確に示されているけれど少しわかりにくいもの、障害認定基準でほぼ明確に等級が決まっているものについて、ざっくり書きます。

MEMO
3級より少し軽い障害手当金(一時金)に該当する状態で、疾患が治っていない(症状が固定していない)場合は、全て3級の年金となります。

眼の障害

等級表で示されている視力障害のほか、求心性視野狭窄や輪状暗転による視野障害は検査値のみで等級が決まります。

  • 8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ5度以内→2級
  • 両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した視野の合計がそれぞれ56度以下→2級
  • 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもので、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した視野の合計のうち左右のいずれかが57度以上→障害手当金

聴覚障害

等級表では、両耳の聴力レベルが100デシベル以上で1級、90デシベル以上で2級とされていますが、次の場合も等級がはっきり決められています。

  • 両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上かつ最良語音明瞭度が30%以下→2級
  • 両耳の平均純音聴力レベル値が70デシベル以上→3級
  • 両耳の平均純音聴力レベル値が50デシベル以上かつ最良語音明瞭度が50%以下→3級
  • 一耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上→障害手当金

音声又は言語機能の障害

このカテゴリーで障害等級がはっきりしているのは、咽頭全摘出手術などにより発音に関わる機能を喪失した場合のみで、単独では2級となります。

ただ、この場合、そしゃくや嚥下機能の障害も併せて起こっているケースが多く、「併合認定」の扱いになるため、ちょっと複雑です。

併合について書き始めると、このエントリが終わらなくなるためまたにしますが、該当する可能性のある方や周囲の方は、「発声と嚥下ができない場合はちょっと注意」ということだけ頭の片隅に入れておいて下さい。

肢体の障害

肢体の障害はわかりやすいと思われがちですが、切断や完全麻痺などの場合をのぞき、じつはかなりわかりにくいです。

ともあれ、状態がハッキリしている場合に限ると、等級表に書かれた切断等のほかは、人工骨頭または人工関節を入れている場合ということになります。

具体的には、「上肢または下肢の3大関節のうち、1関節以上に人工骨頭又は人工関節を挿入置換した」という状態は、基本的には3級です。

(とはいえ、挿入置換しても状態が良くならないときは2級以上の可能性もあります。特に両下肢の場合は要注意です。術後しばらくして安定し、状態が良くなった場合は、まず3級だと思って下さい)

ほか、切断・離断について、等級表には「欠くもの」と「失ったもの」があって、どう違うのか、よくわかりません。この部分については、障害認定基準で次のようにされています。

  • 「上肢の指を欠くもの」とは、基節骨の基部から欠き、有効長が0の状態
  • 「上肢の指を失ったもの」とは、親指については指節間関節(IP関節)、その他の指については近位指節間関節(PIP関節)以上で欠く状態
  • 「一下肢を足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠く状態
  • 「下肢の指を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP関節)から欠く状態
  • 「一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失ったもの」とは、中足趾節関節(MP関節)以上で欠く状態

心疾患

  • 人工弁を装着した場合→3級
  • ペースメーカー、ICD(植込型除細動器)を装着した場合→3級
  • CRT(心臓再同期療法医療機器)、CRT-D(両心室ペーシング機能付埋込型除細動器)を装着した場合→2級
  • 人工血管(ステントグラフトを含む)を挿入置換し、かつ一般状態区分が「イ」か「ウ」の場合→3級
  • 心臓移植をした場合→1級
  • 人工心臓を装着した場合→1級
MEMO
心臓移植と人工心臓の場合、術後1〜2年程度経過観察した上で症状が安定している場合は再認定となり、ずっと1級というわけではありません

腎疾患

例として何度か書いているとおり、人工透析療法施行中の場合は2級になります。

その他の障害

  • 人工肛門または新膀胱を造設もしくは尿路変更術施行の場合→3級
  • 人工肛門を造設かつ新膀胱を造設または尿路変更術施行の場合→2級
  • 人工肛門を造設かつ完全排尿障害(カテーテル留置または自己導尿の常時施行を必要とする)状態にある場合→2級
  • 遷延性意識障害→1級
MEMO
これらは認定の時期がそれぞれ違うなど、少しややこしくなりますので、年金事務所などで、よく説明を受けて下さい。

まとめと少し注意したいこと

上記の等級が基本とされるものの、状態によっては、より上位等級となることもあります。たとえば、「基礎年金で人工肛門だけに該当するから年金は受けられない」というわけでもありません。こういった場合は、ぜひ社労士に相談していただければと思います。

また、上記に該当しなくても、特に心疾患や肝疾患、腎疾患などの内部障害では、検査数値と臨床所見などの組み合わせで等級の見当のつくケースが多く、障害認定基準の該当部分を主治医の先生に見ていただければ、何級に該当するかだいたいわかると思います。

ここではひとまず一覧的に書いておきたかったため、色々と省略している部分があります。まず障害年金に該当しそうか知りたいという場合は、年金事務所で相談するか、もう少し手軽に、社労士の無料電話相談を活用する手もあります。

社労士 かこ

ここに書いた以外の状態の方が、請求数としては圧倒的に多くなります。カテゴリーごとに、今後少しずつ書いていきたいと思っています。