社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。
NPO法人むさしの発達障がい支援サークル・しょーとてんぱー様の障害基礎年金講座でお話をさせていただきました。
今回は、この講座で寄せられた、知的・発達障害のあるお子さまを持つご家族よりいただいた質問と、その回答をいくつかご紹介します。
知的障害や発達障害で障害年金の請求を考えられている方や、すでに受給されている方は、ぜひお読み下さい。
Contents
障害基礎年金講座でお話させていただきました!
今回の講座には当初の定員を超える約90名の方が参加下さったと伺っています。
当日は熱心にメモを取りながら話を聞いて下さる方が多く、とてもあたたかい雰囲気の中、楽しくお話させていただくことができました。
事前にいただいていた質問と、講座後の質疑応答でよせられた質問から、私自身、学ばせていただくことが色々ありました。同時に、障害年金にはまだまだ根強い誤解があるということもあらためて感じました。
障害年金の請求に関する質問
働いていたり専門学校に行っていると障害年金は受給できない?
軽度の発達障害があり、一般企業の障害者雇用枠で働いている方、専門学校に通われていることから主治医に年金は無理でしょうと言われている方などからご質問をいただきました。
結論からいえば、そのようなことはありません。
このブログでも何度か書いていることですが、就労しているから(あるいは勤務先の条件が良いから)障害年金が受給できないというものではありません。
専門学校に通われていても、多くの場合は援助や配慮を受けながらという場合が多いと思います。通学されていることが不支給の理由になることはありません。
ただし、就労している場合も、学校に通っている場合も、どのような状態で、どのような援助や配慮を受けているのかが、書面でしっかりと伝わるようにしなければなりません。
詳しくはこちら↙をお読み下さい。

診断書の「就労」の欄には記入してもらわない方がいい?
精神の障害用の診断書には、就労状況を記入するこのような欄があります。
「この欄にはむしろ空欄か斜線を引いてもらった方がいいという噂があり、どちらが良いのかわからない」というご質問があり、なるほど、そのようなことが噂になったりするのだなと知りました。
たしかにこの欄は、記載が義務づけられているわけではないのです。
ですが、空欄などで曖昧にするより、むしろしっかりと就労の状況を書いてもらう方がいいですよとお話しました。
障害年金受給中の質問
永久認定を得る方法はある?
障害年金の認定は、永久認定と有期認定に分けられます。
永久認定の場合は、言葉のとおり永久に診断書を提出する必要がありませんが、有期認定の場合は数年(1年〜5年)に一度、診断書(障害状態確認届)を提出しなければなりません。
この診断書の提出について、親なき後はいったいどうすればいいのかという不安が、多くの親御さんの間にあるようです。
ですが、有期認定を得るための方法というものは、残念ですがありません。最初から永久認定の場合もあれば、有期認定を何度か繰り返した後に永久認定になる場合、ずっと有期認定の場合があります。障害の状態と同様、認定医が個々の状態から判断することなのです。
ただ、障害状態確認届の提出については改正があり、現状では診断書を提出する指定日(20歳前障害の場合は現在のところ7月末日)前1か月以内の診断書が必要なところ、2019年8月より、 指定日前3か月以内の診断書を提出すればよいことになり、少し余裕ができます。そのようなお話もさせていただきました。
とはいえ、知的障害では症状の大きな変動はありません。特に年齢を重ねるにつれてその傾向は高くなると思います。できれば多くの方が永久認定されますように。
等級変更の申請は可能?
有期認定の場合はもちろん、永久認定を受けている場合も、障害の状態が悪化した場合は、増額改定の請求ができます。この請求を「額改定請求」といい、等級の決定から1年経てば、いつでも可能です。
ここでいう「決定」には「再認定」を含みません。2級の年金を受給している方が更新により2級と再認定された場合、そこから1年待たなくても額改定請求は可能です。
相続により年金は停止される?
20歳前に初診日がある障害基礎年金についてのみ、一定の所得制限があります。扶養親族がいない場合の所得制限額は次のとおりです。
全額支給停止の制限額 | 4,621,000円 |
半額支給停止の制限額 | 3,604,000円 |
ここでいう所得には、地方税法上の非課税所得は含まれません。
まず障害年金は非課税ですので、この所得には含まれません。そしてご質問のあった、相続により財産を得た場合ですが、地方税法上の課税所得とならないため影響しません。いくら財産があったとしても、制限額を超える所得がない限り、障害年金が支給停止されることはないのです。
ただし、家賃収入は所得となるため、制限額を超える所得があれば、支給停止になります。
社労士への依頼に関する質問
社労士に依頼した方が申請が通りやすい?
社労士が入っているから認定されやすくなるということはありません。
ただ、障害年金の請求を多く扱っている社労士は、書面でなにを伝えなければならないのか、そのポイントをよく知っています。おのずと、ご本人の状態がしっかり現れた書面になるため、結果として適正な認定につながることは多いです。ですが、デメリットとして報酬はかかります。
この点については、以前書いたこちら ↙ の記事をお読み下さい。

ややこしい書類を作ることや何度も役所に足を運ぶことが苦痛という方も、専門家を活用するという手はあると思います。
社労士の探し方・信頼のおける社労士の見分け方
インターネット上には、障害年金を扱う社労士のホームページがあふれていて、どうやって選んだらいいのかわからないというのが実情だと思います。
そのような場合にお勧めする方法のひとつが、社会保険労務士会への相談です。電話で相談すれば、お住まいの地域の適切な社会保険労務士を紹介してもらうことができます(それでも実際に相談してみた結果、合わないと思えば、もちろん断ることもできます)。
どのような方法で相談する場合にも、次の点に気をつけて下さい。
- 依頼した場合に社労士は何をやってくれて、自分は何をしなければならないのか、きちんと確認する
- 不支給になってしまった場合の対応を確認する(審査請求・再審査請求をしてくれるのか、その際に追加料金は発生するかなど)
- 質問にきちんと答えてくれるか(少しでも疑問に思うことはどんどん質問してみて、嫌な顔をするようならNG)
- 相性は良さそうか
相談料が無料だからといって、申し訳ないと思う必要はありません。本当に重要な手続きなのですから、信頼できるかどうか、じゅうぶんに見極めてほしいと思います。
まとめ
今回はとても貴重な経験をさせていただきました。これからも、こういった活動は地道に続けていきたいと思っています。
社労士 かこ
あわせて読みたい関連記事


