喘息も障害年金の対象になる!慢性呼吸不全による障害年金の認定基準とポイント

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

喘息も障害年金の対象になることをご存じですか?

今回は、呼吸器疾患のうち、気管支喘息を含む慢性呼吸不全による障害年金の認定基準について解説します。

慢性呼吸不全の認定方法と障害等級

慢性呼吸不全を生じる疾患は、閉塞性換気障害(肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎など)、拘束性換気障害(間質性肺炎、肺結核後遺症、じん肺など)のほか、心血管系異常、神経・筋疾患、中枢神経系異常など多岐にわたります。

障害認定基準では、これら原因疾患にかかわらず、呼吸不全による障害として、認定基準を定めています。

認定の方法は、検査成績(A表・B表)と一般状態区分を障害等級の例示にあてはめるというものです。それぞれ見ていきましょう。

検査成績の参考値

動脈血分析値と予測肺活量1秒率の異常の程度の参考値は次のとおりです。

A表 動脈血ガス分析値

区分検査項目単位軽度異常中等度異常高度異常
1動脈血O₂分圧Torr70〜6160〜5655以下
2動脈血CO₂分圧Torr46〜5051〜5960以上

*動脈血ガス分析値の測定は安静時に行うこととされています。

B表 予測肺活量1秒率

検査項目単位軽度異常中等度異常高度異常
予測肺活量1秒率40〜3130〜2120以下

一般状態区分

区分一般状態
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの たとえば軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力での屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

呼吸不全による障害等級の例示

上記の検査成績と一般状態区分に基づいた障害等級の例示は次のとおりです。

障害の程度障害の状態
1級A表及びB表の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級A表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級A表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

診断書の記載欄

呼吸器疾患の診断書のうち、共通項目の記載欄は次のようになっています。

呼吸不全による障害の程度は、A表の動脈血ガス分析値が優先されますが、上記のとおり、診断書には胸部X線所見や臨床所見、活動能力(呼吸不全)の程度などについて記載する欄があり、それらも認定の参考とされます。

受け取った診断書は必ず確認し、一般状態区分や活動能力の評価が実態と異なる場合には、医師に相談してみて下さい。

気管支喘息の認定方法と障害等級

気管支喘息については、症状が安定している時期の症状の程度、使用する薬剤、酸素療法の有無、検査所見と一般状態区分からの認定となります。

慢性気管支喘息による障害等級の例示

障害の程度障害の状態
1級最大限の薬物療法を行っても発作強度が大発作となり、無症状の期間がなく一般状態区分表のオに該当する場合であって、予測肺活量1秒率が高度異常(測定不能を含む)、かつ、動脈血ガス分析値が高度異常で常に在宅酸素療法を必要とするもの
2級呼吸困難を常に認める。常時とは限らないが、酸素療法を必要とし、一般状態区分表のエ又はウに該当する場合であって、プレドニゾロンに換算して1日10㎎相当以上の連用、又は5㎎相当以上の連用と吸入ステロイド高用量の連用を必要とするもの
3級喘鳴や呼吸困難を週1回以上認める。非継続的なステロイド薬の使用を必要とする場合があり、一般状態区分表のウ又はイに該当する場合であって、吸入ステロイド中用量以上及び長期管理薬を追加薬として2剤以上の連用を必要とし、かつ、短時間作用性吸入β₂刺激薬頓用を少なくとも週に1回以上必要とするもの

診断書の記載欄

呼吸器疾患の診断書のうち、気管支喘息の記載欄は次のようになっています。

気管支喘息は、的確な治療を受けていても、なお症状が続く場合にのみ認定の対象となります。上記のとおり、喫煙歴を記載する欄もあり、認定には喫煙の状況も影響します。

その他の留意点

在宅酸素療法の取扱い

常時(24時間)在宅酸素療法を施行中で、かつ軽易な労働以外の労働に常に支障がある状態は、基本的に3級とされています。

ただし、臨床症状や検査成績、日常生活状況等によっては、より上位等級と認定される場合もあります。

また、初診日から1年6か月経過前に在宅酸素療法を開始した場合、その日が障害認定日とされますので注意して下さい。

慢性肺疾患の取扱い

慢性肺疾患により非代償性の肺性心を生じている場合は、基本的に3級とされます。

ただし、治療や病状の経過、検査成績、日常生活状況等によっては、より上位等級と認定される場合もあります。

肺手術後の初診日の取扱い

肺疾患で手術を受け、その後、呼吸不全を生じた場合は、肺手術と呼吸不全発症までの期間が長くても、相当因果関係があるものと取り扱われます。

障害年金の初診日で問題となる「相当因果関係」とは

まとめ

慢性呼吸不全による障害年金の認定は、検査数値、治療内容、一般状態区分などの組み合わせで決まります。

社労士 かこ

障害年金に該当するかわからない場合は、ぜひ主治医の先生に認定の基準を見てもらい、相談してみて下さい!

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