障害年金受給の大前提である「障害」とは

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

障害年金を受給するためには、いくつかの要件が必要ですが、なんといっても「障害の状態にあること」が大前提です。

今回は、この「障害」ということについて、いささか概念的な話になりますが、考えてみたいと思います。

「障害」とは状態を表す言葉

疾患や障害の概念について、私の愛読書のうちのひとつにわかりやすい記述があるので、一部引用します。

「疾患」というのは、様々な困難(これが「障害」)を引き起こすであろうもとのもののことで、主に生物学的要因のことを指します。「疾患」があっても「障害」はないという場合も、ないことはない。(中略)

「障害」はさらに、機能障害 impairment、能力障害 disability、 社会的不利 handicap に分けられます。例えば、骨折して(これが疾患)、痛みやしびれが出てきて(機能障害)、作業ができなくなり(能力障害)、仕事に就けなくなった(社会的不利)という具合です。

教師とスクールカウンセラーのためのやさしい精神医学〈1〉LD・広汎性発達障害・ADHD編

これは国際障害分類(ICIDH)の障害構造モデルに基づいた記述となっています。障害年金の「障害」を考えるときに、このモデルがとてもしっくりくるのです。

私ごとですが、これまで何度かぎっくり腰をやっています。ひどいときは全く身動きできないし、しばらくの間、仕事にも日常生活にもとても制限のある状態が続きます。

平たくいえば、この「仕事や日常生活に制限のある状態」こそが、障害年金制度でいうところの障害です。障害は「状態」を表す言葉です。

もちろん、私のぎっくり腰による障害はほんの短期間のことなので障害年金の対象にはなりません。でも、仮にこの状態が何年も続くとなれば、対象になり得るのです。

障害年金は「障害の状態」で認定される

ごくわずかな例外を除き、ほぼ全ての疾患が、障害年金の対象になります。とはいえ、疾患にかかってさえいれば支給されるというものでもありません。

まず、障害の要因となる「疾患」があること。これが大前提。そして上の引用にあてはめれば、たいがいの場合、その疾患による機能障害、能力障害、社会的不利の状態を総合した障害の状態で認定されます。

(ただし、疾患の特質によっては、社会的不利の程度が、認定に全く影響しない場合もあります)

どのような「状態」が対象になるかというと、法律で定められた障害等級表があるほか、認定の実務上、障害の部位や種類によって、個別に「障害認定基準」というものが定められています。

それらも追々紹介していきたいと思いますが、まず、障害年金は、そのときどきの障害の状態で認定されるということ、その要因になる疾患の種類は問わないということ、それだけは、ぜひとも知ってもらいたいと思います。

紹介した本と独りごと

この本の著者、森俊夫先生は、2015年に逝去されています。

その前の数年間、私は森先生の精神医学講座や、ブリーフセラピーの講座をいくつか受けていたほか、個人的にとてもとてもお世話になりました。10年以上も患っていたパニック障害を治していただいたのです。

大好きな先生でした。バタバタしていて、カウンセリングの勉強からは少し遠ざかっていましたが、森先生にはいつでも会えると思っていました。なんとも間抜けでした。

久しぶりに最新の精神医学講座や薬の講座を受けに行こうと思い、講座情報を調べていて、森先生の訃報を知りました。ほんの少し遅かった。

実感がわかないまま、ただ、他の先生の講座というのが考えられなくて、気がついたら3年以上経っていました。そろそろ、また、勉強を再開したいと思っています。