障害年金の受給中に気をつけたいこと〜更新・支給停止・額改定請求

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

障害年金の受給中には、再認定(いわゆる更新)と、それに伴う等級変更や支給停止、障害の状態が悪化した場合の額改定請求の手続きなどがあります。

これらの手続きに関連して、いくつかの改正がありますので、それらも含めて解説します。

障害状態の再認定(更新)

障害年金は「障害の状態」で認定されます。

障害年金受給の大前提である「障害」とは

障害は「状態」ですから変化することもあります。そのため障害年金は多くが「有期認定」とされていて、数年に一度、「障害状態確認届」(診断書)を提出する必要があります。

何年の有期認定になるかは、障害の種類や状態により個々に異なります。最初の請求に対する決定時と再認定の都度、次回は何年に診断書を提出するのかが決められ、通知されます。

友人は5年に1回診断書を出さなければならないと言っていました。

社労士 かこ

症状が変動しにくい疾患では、5年という長めの認定になることもあります。逆に症状が変動しやすい疾患では、1年から2年の認定となることが多いようです。

提出月は、2019年3月現在、20歳前に初診日がある場合は一律に7月、それ以外の場合は誕生月となっていますが、 2019年7月からは、20歳前に初診日がある場合も含めて一律に誕生月となります

障害状態確認届により、障害の状態が軽くなったと判断されれば、等級が下がったり、支給停止になることもあります。

このように不利益に変更される場合、提出月の4か月目の分から支給停止や減額改定となります。たとえば7月が提出月であれば、11月分から改定されます。

逆に、障害の状態によっては等級が上がることもあります。この場合は、提出月の翌月分から増額改定されます。

MEMO

「永久認定」の場合は定期的に診断書を提出する必要がありませんが、1級以外の障害年金を受給している場合で、障害の状態が悪化したときは、後述する額改定請求の対象になります。永久認定では、額改定請求をしない限り等級が改定されませんので注意して下さい。

支給停止事由消滅届

障害の状態が、定められた障害等級に該当しない程度に軽くなったとして支給停止された場合でも、受給権(年金を受給するための基本的な権利)はなくなりません。

障害等級に該当しない間、支給が「停止」されますが、障害の状態が悪化して、再び障害等級に該当したと認められれば、支給停止は解除され、年金支給が再開されます。

支給停止の解除のためには、「支給停止事由消滅届」という届出書に診断書を添付して、年金機構に提出することが必要です(障害状態の審査により、認められる場合と、認められない場合があります)。

この支給停止事由消滅届について、時々誤解があるのですが、障害等級に該当すると認められた場合、届出をした月の翌月分から支給再開されるのではなく、障害等級に該当した日(具体的には、診断書の現症の年月日=いつの障害の状態なのかを示した年月日)の属する月の翌月分から再開されます。

たとえば、1月の障害の状態について作成された診断書を添付して、6月に支給停止事由消滅届を提出し、障害等級に該当すると認められた場合は、1月に遡って支給停止が解除され、2月分からの年金が再び受給できます。

社労士 かこ

手続きを代理し、5年間遡って認められたケースもありますよ。

額改定請求

障害の状態の悪化などにより、現在受給している障害年金の等級より重い等級に該当すると考えられる場合、「額改定請求」という手続きができます。

額改定請求をするためには、「障害給付  額改定請求書」に診断書を添付して、年金機構に提出します(支給停止事由消滅と同様、障害状態の審査により、認められる場合と、認められない場合があります)。

額改定請求は、原則、「障害年金の受給権が発生した日」または「障害の程度の診査を受けた日」(*)から1年を経過した日以降しかできませんが、次の一定の状態(22項目のいずれか)に該当した場合は、1年経たずに額改定請求が可能です。

1年を経過しなくても額の改定を請求できる場合(PDF)

額改定請求で等級変更が認められると、請求した月の翌月分からの年金額が改定されます。請求が遅れることにより不利益になりますので、現在より重い等級に該当すると考えられる場合は、できるだけ早く手続きしましょう。

なお、過去に同一の支給事由による障害基礎年金の受給権を一度も有していない3級の受給権者は、65歳以後の額改定請求はできませんので注意して下さい。

MEMO

(*)「障害年金の受給権が発生した日」とは、障害認定日請求の場合は障害認定日、事後重症請求の場合は年金の請求をした日です。また、「障害の程度の診査を受けた日」とは、額改請求を行った日または障害等級の変更があった日です。

改正により取扱いが変わる点

前述したとおり、20歳前に初診日がある場合の更新月(診断書提出月)が、7月から誕生月に変更になります。

また、現在、更新の診断書は、診断書を提出する指定日(提出年月の末日)前1か月以内の障害の状態によるものでなければならないこととされていますが、2019年8月より、 指定日前3か月以内の状態による診断書でよいことになります。

額改定請求については、現在、請求日前1か月以内の障害の状態で作成された診断書が必要ですが、改正後は 請求日前3か月以内の状態による診断書でいいことになります。

もう一点、20歳前に初診がある場合のみ一定の所得制限があることから、毎年7月に所得状況届の提出が必要でしたが、2019年より、市区町村からの資料で所得の状況が確認できれば省略できることになります。

まとめ

障害年金受給中の手続きについてまとめてみました。

改正事項については、具体的な運用がまだわからない部分がありますので、明らかになりましたら、あらためてご紹介します。

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