知的障害・発達障害による障害年金請求〜その2【初診日と病歴・就労状況等申立書・診断書のポイント】

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

前回は認定の基準や就労との関係、審査の上で参考にされることを中心に書きました。

知的障害・発達障害による障害年金請求〜その1【認定基準と就労との関係など】

今回は、手続きの流れや初診日、病歴・就労状況等申立書、診断書の留意点などについて書いていきます。

初診日について

知的障害と、知的障害を併発している発達障害では、出生日が初診日と取り扱われ、受診状況等証明書(初診日の証明書類)の提出は不要です。

詳しくはこちら ↙ をご覧下さい。

知的障害で障害年金を請求する場合の初診日の取り扱い〜相談事例から〜

知的障害を伴わない発達障害では、原則どおり、初めて医師等を受診した日が初診日となり、受診状況等証明書の提出が必要です。もしも初診日に厚生年金に加入していれば、障害厚生年金の受給も可能です。

発達障害の初診日について、途中で診断名が変わった場合、たとえば適応障害やうつ病などの診断を受け、受診している過程で発達障害が発見されたといった場合は、適応障害やうつ病の初診日が、発達障害の初診日と取り扱われますので注意して下さい。

保険料納付要件と初診日の証明

知的障害(発達障害を併発している場合を含む)と、発達障害単独でも20歳前に初診日がある場合、保険料の納付要件は問われません。相談の窓口は、基本的には市区町村の窓口になりますが、年金事務所や年金相談センターでも相談や手続きは可能です。

発達障害単独で、20歳以降に初診日がある場合、初診日に加入していた制度が国民年金のみであれば市区町村でも相談できますが、初診日に厚生年金に加入していた場合は年金事務所か年金相談センターが窓口です。

窓口で保険料納付要件などの確認後、必要書類を受け取り、まずは初診の医療機関に受診状況等証明書を依頼することになります。

これら一連の流れについては、以前書いた、うつ病など精神障害による請求の場合と同じです。こちら ↙ からご確認下さい。

自分でできる!うつ病など気分障害・統合失調症による障害年金請求~その1【初診日特定から病歴申立書作成まで】

病歴・就労状況等申立書のポイント

病歴・就労状況等申立書は、本人か、ご家族など本人の状況をよく知る方が作成する書類です(社労士に依頼する場合は、社労士がヒアリングなどに基づき作成します)。

書式はこちら ↙ からご覧いただけます。

病歴・就労状況等申立書

知的障害や発達障害で障害年金を請求する場合は、出生時からの状況を記入することになります。発育・養育歴、教育歴、幼少期や学童期の状況なども審査の上で考慮される事項になりますので、分量が多くて大変ですが、頑張って作成していきましょう。

経過は、受診した医療機関ごとに記入するのが原則ですが、受診していない期間や、ひとつの医療機関を受診していた期間が長い場合は、就学前、小学校低学年、小学校高学年、中学校、高校・・・という具合に欄を分けて記入するとスッキリとまとまり、審査側にもそれぞれの時期の状況が伝わりやすくなります。

表面(経過欄)

次のような点について注意しながら記入してみて下さい。

  • 発達の遅れに気づいた、あるいは違和感をもった時期やきっかけ、様子、行動など【例・目が合わない、おもちゃなどの音に反応しない(または過敏)、言葉の遅れ、運動発達の遅れ、多動、衝動性、こだわり行動、極端な偏食など】
  • 健診での指摘の有無(乳幼児健診、就学前健診など)、発達支援機関などの利用や相談、療育の有無、受診、発達検査、医師の意見や診断など
  • 保育園や幼稚園などでの集団生活の有無と状況【例・園の体制、配慮の有無、集団行動、友達との関わり、遊び方など】
  • 就学の状況、特別支援教育の有無(普通学級、特別支援学級、通級、特別支援学校など)、通学(集団登校、保護者の付き添い、通学の練習など)
  • 学校での様子【例・支援や配慮の有無、授業中の離席の有無、授業態度、学習の遅れ、一斉指示への対応、集団行動、教師の意見、同級生との関わり、いじめやからかいの有無、登校しぶり、不登校など】
  • 進学の状況【例・学校の種類、受験の有無や内容、支援体制、通学(電車やバスの利用、付き添い、通学の練習など)、同級生等とのコミュニケーション、対人関係の構築など】
  • 知的障害では療育手帳取得の状況

裏面(就労状況・日常生活状況記入欄)

前回書いたとおり、就労の状況は審査の上でとても重要視されますので、就労している場合は、どのような仕事を、どのような援助を受けながらしているのか、できるだけ丁寧に記入して下さい。

また、通勤の状況も重要ですので、通勤で工夫していることがあれば、それも記入するようにします。

日常生活状況については、動作としてのできる・できないではなく、単身生活を想定し、計画性などを含めた幅広い観点から考えてみて下さい。

たとえば「着替え」であれば、自分でTPOや寒暖を考えて衣服を選び、きちんと着用できるのか、「食事」は声かけがなくても適時に適当量を摂ることができるのか、「入浴」や「洗面」はかたちだけでなく、きれいにできているのか、「買物」は自分の欲しいものを1品か2品購入できるだけなく、生活の上で必要なものを判断して購入できるかどうかなど。

実際のところ、ご家族などが作成した病歴・就労状況等申立書で、「できる」に丸がつけられているために不支給となっているケースは少なくありません。

診断書依頼のポイント

診断書の依頼については、以前書いた、精神障害の場合と同じです。こちら ↙ からご覧下さい。

うつ病など気分障害・統合失調症による障害年金請求で外せない「労働能力」と「日常生活能力」とは 自分でできる!うつ病など気分障害・統合失調症による障害年金請求~その2【診断書依頼のツボ】

医師に診断書を依頼する前に、日常生活の状況をメモにして渡すか、口頭でもいいので、ありのままを伝えて下さい。また、できあがった診断書は必ず確認して下さい。

まとめ

障害年金は、必要な書類を揃えて提出すれば、かならず受給できるというものではありません。障害状態などの診査により、20歳前に初診日がある場合は2級以上に該当すると判断されて、はじめて受給できるものです。

そのため、念には念を入れて準備していただきたいと思っています。

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