知的障害で障害年金を請求する場合の初診日の取り扱い〜相談事例から〜

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

知的障害のあるお子さんの障害年金の初診日に関して、ご家族から相談の電話をいただきました。

シンプルな相談なのですが、とある相談会に出かけて混乱され、ネット相談でさらに混乱され、その内容を複数の社労士に相談すると回答が半々に分かれているということで、もう誰の言うことを信じたらいいのかわからないとのことでした。

知的障害(特に発達障害が併発している場合)の初診日の取扱いには、今でも時々誤解があるようです。

ブログ掲載の許可をいただきましたので、今日はこの点についてまとめてみます。

知的障害では出生日が初診日と扱われています

相談の方は、知的障害と自閉症スペクトラムを併発しており、早い段階で療育手帳を取得されています。

幼児期に保健所の健診でA医師(小児科医)に相談したところ、専門医の受診を勧められてB病院を受診し、上記の診断を受けられました。

この場合、初診日はA医師に相談した日でしょうか、それともB病院の最初の受診日でしょうか、というのがご相談の趣旨です。

回答はもう見出しに書いてしまっていますが、初診日はA医師への相談日でも、B病院を初めて受診した日でもなく、出生日です。受診状況等証明書の提出も不要です。

発達障害が併存する場合

知的障害と発達障害が併存しているケースは非常に多く、障害の程度について切り離して考えることは不可能ですから、1枚の診断書で総合的に認定されています。

ところで、これらを「同一疾患」と扱うのか、「別疾患」と扱うのかによって、初診日も異なってくることになりますが、この点について、厚労省は次のとおりとしています。

知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされているので、知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に後から発達障害が診断され障害等級に該当する場合は、原則「同一疾病」として扱う。

例えば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとする。

なお、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の症状により、はじめて診療を受けた日を初診とし、「別疾病」として扱う。

「知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い」(平成23年7月13日付疑義照会回答より)

知的障害による障害の程度が単独で3級に該当するかしないかをどう判断するのかという曖昧な部分は残るものの、ざっくりまとめると、次のようになります。

  • 知的障害による障害の状態が1級か2級相当の場合=同一疾患(初診日は出生日)
  • 知的障害による障害の状態が単独で障害基礎年金を受給する(=2級以上)まで重くはないが、3級には該当する程度の場合=同一疾患(初診日は出生日)
  • 知的障害による障害の状態が単独では3級にも満たない場合=別疾患(初診日は発達障害の症状により初めて診療を受けた日)

これまで請求を代理させていただいたたくさんのケースからも、発達障害の症状が顕著で、知的障害についてはボーダーといった場合は発達障害で初めて受診した日が初診日、療育手帳を取得する程度の知的障害がある場合には、出生日が初診日と扱われると考えられます。

社労士 かこ

時々誤解のある点です。知的障害の場合は受診状況等証明書も必要ありませんので、注意して下さいね。

あわせて読みたい関連記事

障害年金を請求するための最初のステップ。障害年金の初診日について 障害年金の初診日で問題となる「相当因果関係」とは

著書