精神・知的・発達障害での障害年金請求でおさえておきたい「等級判定ガイドライン」

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

障害年金の請求では、発達障害を含む精神障害と知的障害に関するものが圧倒的に多く、当事務所で受けるご依頼の中でも7〜8割を占めています。

今回は、これらの疾患で障害年金を請求するときにおさえておきたい「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」についての話です。

障害認定基準と等級判定ガイドライン

障害年金の等級認定は、障害の部位や種類ごとに定められた「障害認定基準」により行われています。この障害認定基準で、精神の障害は次の6つに区分され、それぞれ障害等級に該当する状態が例示されています。

  • 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
  • 気分(感情)障害
  • 症状性を含む器質性精神障害
  • てんかん
  • 知的障害
  • 発達障害
参考 障害認定基準「精神の障害」

とはいえ、上のリンクから見ていただくとわかるとおり、障害認定基準の例示は、なんとなく漠然としています。

また、以前は障害基礎年金の審査が都道府県ごとに行われており、ある地域では審査がやさしい、ある地域では厳しいといった「地域格差」が大きな問題になりました。

そのために作成されたのが「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」で、2016年9月から運用されています。

現在、障害年金の審査は全て、東京にある「障害年金センター」が一括して行っていますので、「地域格差」自体はなくなりました。

ただ、検査数値にあらわれにくい精神の障害の認定は、診断書を書く医師や、認定を行う医師によるばらつきが出やすく、依然として公平な認定は難しいのが現状です。

等級判定ガイドラインは、障害認定基準を前提としつつも、できるかぎり認定のばらつきを防ぎ、適正な認定を行うための指標とされているものです。

MEMO
等級判定ガイドラインは、障害認定基準で定められた精神の障害のうち、てんかんを除く疾患が対象とされています。

社労士 かこ

このガイドラインは大きく分けると、「障害等級の目安」と「総合評価の際に考慮すべき要素の例」から成り立っています。それぞれ見ていきましょう。

障害等級の目安

「日常生活能力の判定」の点数化

精神障害や知的障害、発達障害の請求に使用する診断書は ↙ からご覧いただけます。

障害年金の診断書(精神の障害用)

このうち、「障害等級の目安」を調べるために見るのは、次の部分(診断書裏面の上の部分)です。

まず、左側の「日常生活能力の判定」の4段階評価を、左(軽い方)から右(重い方)に向かって1〜4の点数に置き換えます(たとえば「適切な食事」の項目で、「できる」は1、「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」は2といった具合)。

そして、(1)の適切な食事から、(7)の社会性までの7項目の平均点を出します。

障害等級の目安

障害等級の目安はこのようになっています。

「程度」には、診断書右側の「日常生活能力の程度」の5段階評価を、「判定平均」には、先ほどの「日常生活能力の判定」を点数化した平均点をそれぞれあてはめ、交差する部分が「障害等級の目安」です。

(障害基礎年金の場合は3級がないため、3級と書かれている部分は「2級非該当」と置き換えられます)

総合評価の際に考慮すべき要素の例

「障害等級の目安」は絶対ではなく、診断書の他の部分の記載や、病歴・就労状況等申立書の記載内容などにより、認定医による総合的な評価が行われた結果、目安と異なる等級となることもあります。

その総合的な評価を行う際の指標とするため作成されたのが「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で、いくつかの項目について、疾患ごとに例示されています。

ここでは、各疾患の共通事項のうち、主なものを紹介します。

  • 通院の状況(頻度や治療内容など)、薬物療法を行っている場合は、その目的や内容(種類・量・期間など)や、服薬状況が考慮されます。通院や薬物療法が困難な場合は、その理由や他の治療の有無、その内容が考慮されます。
  • 家族などの日常生活上の援助や福祉サービスの有無が考慮されます。
  • 仕事をしていることで、ただちに日常生活能力が向上したとはとらえず、療養状況、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などをじゅうぶん確認した上で日常生活能力を判断することとされています。
  • 援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態が考慮されます。
  • 就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面と、就労以外の場面の両方の状況が考慮されます。
  • 「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬があれば、それが考慮されます。

全文は、こちら ↙ からご覧いただけます。

総合評価の際に考慮すべき要素の例

まとめ

今回は、等級判定ガイドラインの概要について書きました。

今後は障害ごとに、障害認定基準やガイドラインの内容、請求するときに気をつけたいことなど、何回かにわけて書いていく予定です。

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