障害年金の請求でダメだったときのリベンジ方法「不服申立て」を徹底解説〜その2【審査請求】

社会保険労務士の加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

障害年金を請求したものの思うような結果が得られなかった場合や、受給していた障害年金の等級が下がったり支給停止されてしまった場合などには、「不服申立て」(審査請求・再審査請求)という手段を取ることができます。

この不服申立てについて、3回に分けて書いています。

前回はおもに不服申立て全般に共通する事柄と、一部、審査請求について書きました。

障害年金の請求でダメだったときのリベンジ方法「不服申立て」を徹底解説〜その1【不服申立ての概要と準備】

今回は一審の審査請求について、より詳しく解説していきます。

資料の用意と審査請求書の作成・提出

前回書いた方法で原処分の理由を確認したら、その内容に対して、どのような方法が取れるのか、またどのようなことを訴えればいいのかを考え、提出する資料を用意したり、審査請求書を作成します。

(資料はあとから追加提出することもできます)

初診日が争点の場合

初診日が証明できず却下されたとか、主張した初診日が認められず不利な決定になったなど、審査請求で初診日を争う場合には、制度上、初診日に関する取扱いがどうなっているのかを知らなければなりません。

その上で、主張する初診日を立証できる資料(カルテなど医療記録や第三者の陳述・証言など)を用意していきます。

初診日の取扱いについては、次の記事などを参考にしてみて下さい。

障害年金の初診日で問題となる「相当因果関係」とは 障害年金請求で初診日の証明が取れないときはどうしたらいい?〜対策その1【2番目以降の受診記録により証明する方法】 障害年金の初診日が変わる?「社会的治癒」のメリットと要件を徹底解説しました

障害の状態(障害等級)が争点の場合

なんといっても障害認定基準を知らなければなりません。精神障害の場合は、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の知識もある程度必要です。

障害認定基準や等級判定ガイドラインは、日本年金機構のサイトからダウンロードできます。該当する障害の種類に関する基準だけはおさえておいて下さいね。

参考 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準日本年金機構

状況に応じて、障害の状態を立証できるカルテや、医師意見書などを、できる限り用意していきます。

とはいえ、資料は必須ではありません。不服申立て(審査請求・再審査請求)では、なんといっても原処分のもとになった診断書などの資料が最優先されます。

審査請求書はどんなふうに書く?

形式的な書き方は、次のサイトから、記載要領を参照して下さい。

参考 社会保険審査官関東信越厚生局

問題となるのは「審査請求の趣旨及び理由」でしょう。通常、この欄には書ききれませんので、別紙とします。

まず「審査請求の趣旨」として、求める内容を端的に記入します。

次に「審査請求の理由」として、原処分のもとになった診断書や申立書などの請求書類、事実関係、用意した資料、障害認定基準などに沿って、できるだけ分かりやすく、整理して記入していきます。

社労士 かこ

納得のいかない気持ちはあっても、ここはぐっと冷静に。感情論にならないことが大切です。

審査請求書を提出するとき気をつけること

審査請求書と提出資料は必ず自分の控え用にコピーを取り、原処分の決定通知書を添えて、書留など記録の残る方法で郵送します。

審査請求後、通常1週間ほどで、担当の社会保険審査官より受理の通知が届きます。

審査請求の流れと審査請求人ができること

保険者意見と原処分変更

社会保険審査官は、審査請求を受理すると、原処分をした保険者(ここでは厚生労働省年金局)に、その旨の通知をします。

保険者はそれを受けて、原処分のもとになった書類の全てと、審査請求で提出された資料を検討し、意見書を作成して、社会保険審査官に通知します。

この検討の段階で、保険者自らが、当初の決定を変更する場合があります。これを「 原処分変更」といいます。

社労士 かこ

原処分変更があった場合は、担当の社会保険審査官から電話連絡があるほか、年金機構から郵便で通知が届きます。

原処分変更により、審査請求人の主張が全て認められれば、訴えの利益がなくなりますので、審査請求は取り下げるかたちになります。これが一番早い解決です。

原処分変更で、審査請求人の主張が一部だけ認められた場合(たとえば2級を求めていたところ、3級は認められた場合など)は、認められなかった部分について、引き続き審査請求で争うことができます。

口頭意見陳述の開催を求めることができる

審査請求後、社会保険審査官に対して「 口頭意見陳述」の開催を求めることができます。

口頭意見陳述には、担当の社会保険審査官のほか、保険者代理人(厚生労働省の事務官)が出席し、審査請求人は口頭で意見を述べたり、保険者に対して質問をすることができます。

(保険者代理人は基本的にはインターネットTV電話による出席となっています)

口頭意見陳述を希望する場合は、審査請求の受理通知が届いた後、担当の社会保険審査官に電話で連絡しておきます。

開催までに数ヶ月かかりますが、時期が近づくと、社会保険審査事務室から日程調整の連絡が入り、それに基づいて、開催の通知が届きます。

体調が悪いので出席することができないのですが・・・。口頭意見陳述にはどんなメリットがありますか?

社労士 かこ

保険者に対して質問できることだと思います。その回答によっては、あらたな対策が立てられる場合もありますよ。

代理人を立てている場合、口頭意見陳述には代理人のみが出席することもできますが、ご自身で審査請求をされている場合で、体調などにより出席できないときは、委任状があればご家族などが代理で出席することも可能です。

もちろん、最初から開催を求めないこともできます。

資料の閲覧・書面の交付申請を活用する

審査請求中には、社会保険審査官に対し、先に書いた保険者の意見書など相手方の文書や物件の閲覧や交付を求めることができます。

この閲覧・交付を希望する場合も、審査請求の受理通知が届いた後、担当の社会保険審査官に電話で連絡をしておくことになります。

早い段階で保険者の意見を確認することができるので、なるべく交付を受けておくことをお勧めします。

社会保険審査官の決定

審理が終わった後、社会保険審査官が作成する「 決定書」が届きます。

決定は、「 容認」(原処分の取り消し)か「 棄却」(原処分を妥当とするもの)、または「 却下」(審査請求が適法ではないとされたもの)のいずれかです。

「原処分の取り消し」ということは、またなにか手続きしなければならないの?

社労士 かこ

容認された場合、あらたな手続きは必要ありません。数ヶ月後に年金証書か支給額変更通知書が届きますので、待っていればOKです。

それ以外の場合は、通常、二審の再審査請求に進むことなります。

審査請求をしてから決定までにかかる期間は、平均して4か月〜半年ほどですが、内容によっては、もっとかかるケースもあります。また、口頭意見陳述が行われる場合は、その分の時間がプラスでかかります。

まとめ

今回は、審査請求の手続きを、一連の流れに沿って書いてみました。

実際のところ、審査請求では認められなくても、二審の再審査請求で認められることは多くありますので、棄却になったとしても、この段階で諦めてしまうのは得策ではありません。

次回は二審の再審査請求について書きます。

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