障害年金請求で初診日の証明が取れないときはどうしたらいい?〜対策その3【一定期間要件】

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

障害年金を請求するとき必ず必要になる初診日の証明。初診日のカルテが廃棄されているなどにより、医療機関から証明が取れない場合、どういう方法で初診日を証明すればいいのか、3回に分けて書いています。

初回は2番目以降に受診した医療機関の記録から証明する方法、2回目は「第三者証明」について書いていますので、あわせてお読み下さい。

障害年金請求で初診日の証明が取れないときはどうしたらいい?〜対策その1【2番目以降の受診記録により証明する方法】 障害年金請求で初診日の証明が取れないときはどうしたらいい?〜対策その2【第三者証明】

初診日の証明が取れない場合については今回が最後。初診日が一定の期間内にあると確認できる場合の取扱い(一定期間要件)について書きます。

初診日が一定の期間内にあると確認できる場合の取扱い

初診日を具体的に特定できなくても、ある一定の期間内に初診日があることが参考資料で確認できれば、一定の条件のもと、本人の申し立てる初診日が認められることがあります。

たとえば次のようなケースで考えてみます。

  • 1996年9月 健康診断の記録あり(異常所見なし)
  • 1998年4月 Aクリニック初診=本人申立ての初診日(記録なし)
  • 2001年6月 Bクリニックの受診状況等証明書あり(前医記載なし)

*Aクリニックを1回か2回受診したが、原因がわからず、症状も軽快したため受診中断。約3年後にBクリニックを受診した際には、Aクリニックを受診したこと自体を忘れていて医師に話さなかったため、Bクリニックのカルテ等に、Aクリニックを受診したことが一切記載されていなかった。

この場合、Aクリニックに一切の記録がなく、他の手段により初診日の証明ができなかったとしても、傷病の種類によっては1996年9月から2001年6月(Bクリニック初診日前日)までの間(一定期間)に初診日があることは確認できます。

この期間の年金制度の加入状況により、次のとおり取扱いが分かれます。

初診日がある一定の期間中、同一制度に継続的に加入していた場合

初診日があると確認できる一定の期間の全てが同一制度の加入期間となっており、かつ、この期間中のどの時点においても保険料納付要件を満たしている場合、本人申立ての初診日が認められます。

前述の事例では、次のようなイメージです

この一定の期間の全てが20歳前または60歳以上65歳未満の未加入期間の場合は、同一制度の加入期間として扱われます。また、全てが20歳前に未加入期間であれば、保険料納付要件は問われません。

初診日がある一定の期間中、異なる制度に継続的に加入していた場合

初診日があると確認できる一定の期間が国民年金の加入期間と厚生年金保険の加入期間であるなど、異なる年金制度の加入期間となっており、かつ、この期間中のどの時点においても保険料納付要件を満たしている場合、本人申立ての初診日について 参考となる他の資料とあわせて初診日が認められます。

前述の事例では、たとえば次のようなイメージです

たとえば上記のように、初診日は厚生年金加入期間中にあるとしても、参考資料でそれが証明できなければ、厚生年金加入期間中の初診とは認められません。厚生年金と国民年金では、給付内容が大きく異なるため、初診日が本当に厚生年金加入期間中にあったのか、厳密に確認する必要があるためです。

(参考となる他の資料については、前々回の記事を参照して下さい)

なお、本人申立ての初診日が、国民年金の加入期間か、20歳前または60歳以上65歳未満の未加入期間の場合には、いずれも障害基礎年金となることから、参考となる他の資料がなくても、本人申立ての初診日が認められます。

一定期間の確認のため参考とされる資料の例

ある一定の期間内に初診日があることを証明するための資料としては、次のようなものが例示されています。

一定期間の始期に関する参考資料の例

  • 請求傷病に関する異常所見がなく発病していないことが確認できる診断書等の資料(就職時に会社に提出した診断書、人間ドックの結果など)
  • 請求傷病の起因とその発生時期が明らかとなる資料(交通事故などの場合、その事故が起因となった傷病であることを明らかにする医学的資料および交通事故などの時期を証明する資料、職場の人間関係が起因となった精神疾患である場合、それを明らかにする医学的資料および就職の時期を証明する資料など)
  • 医学的知見に基づいて一定の期間以前には請求傷病が発病していないことを証明する資料

一定期間の終期に関する資料の例

  • 請求傷病により受診した事実を証明する資料(2番目以降に受診した医療機関による受診状況等証明書など)
  • 請求傷病により公的サービスを受給した時期を明らかにする資料(障害者手帳の交付時期に関する資料など)
  • 20歳以降であって請求傷病により受診していた事実および時期を明らかにする第三者証明

初診日・障害認定日が20歳前にあることを確認できた場合の取扱い(新設)

2019年2月より改正(新設)された取扱いです。

20歳前に初診日がある障害基礎年金で、障害認定日が20歳に達した日(20歳誕生日前日)以前である場合は、障害の程度を認定する時期は一律に20歳となります。

このため、2番目以降に受診した医療機関の、受診した事実を証明する資料に記載された受診日から、障害認定日が20歳以前であることが確認でき、かつ、その受診日前に厚生年金等の加入期間がない場合には、初診日の証明を追加で提出することなく、請求者が申し立てた初診日が認められます。

障害年金の重要キーワード。障害認定日について

まとめ

3回にわたり、初診の医療機関にカルテが残っていない場合の初診日の証明方法について書いてきました。

障害年金のことをご存じないまま長い期間が経ってしまったとか、ゆっくり進行する疾患などで、初診日が何十年も前にあるというケースは少なくありません。

それでもなんらかの方法で、初診日の証明をしてきています。

もしも初診日の証明が取れないため障害年金の手続き自体が頓挫しているという状況にあるのなら、ぜひ社会保険労務士への相談を検討してみていただきたいと思います。

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