視覚障害による障害年金の基準とポイント

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

今回は、視力障害や視野障害、その他の視覚障害による障害年金の認定の基準や留意点についてお話します。

初診日の特定と証明

視力や視野の障害は、ほぼ検査数値により障害等級が決まりますが、中途障害の場合、初診日の特定や証明に苦労するケースがあります。

たとえば糖尿病の合併症として起こる糖尿病性網膜症では、糖尿病による症状で初めて受診した日が、網膜症の初診日になります。また、網膜色素変性症など、非常にゆっくりと症状が進行する疾患もあり、初診日が数十年前にあるというケースも少なくありません。

初診日のカルテや受診記録が残っていない場合の障害年金の請求手続きは、まず初診日を特定するところからのスタートになります。

初診日の証明方法については、以前書いたこちら ↙ の記事などを参考にして下さい。

障害年金請求で初診日の証明が取れないときはどうしたらいい?〜対策その1【2番目以降の受診記録により証明する方法】

障害認定の基準

視力障害の認定基準

視力障害については、法令で次のように等級が定められています。

1級両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
3級両眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害手当金(症状未固定では3級)両眼の視力が0.6以下に減じたもの
一眼の視力が0.1以下に減じたもの

視力障害は、メガネやコンタクトレンズによる矯正視力で認定されるのが大原則ですが、矯正が不可能な場合などは例外として裸眼視力による測定値で認定されます。

また、1級と2級の「両眼の視力の和」とは、左右それぞれの視力の測定値を合算した数値、3級と障害手当金の「両眼の視力」とは、左右それぞれの視力を別々に測定した数値です。

視野障害の認定基準

視野障害については、法令や障害認定基準で次のように等級が定められています。

2級8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した視野の合計がそれぞれ56度以下のもの
障害手当金(症状未固定では3級)両眼による視野が2分の1以上欠損したもの
両眼の視野がそれぞれ10度以内で、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した視野の合計のうち左右のいずれかが57度以上のもの

その他の視覚障害の認定基準

視力障害と視野障害以外は、全て障害手当金(症状が固定していない場合は3級)とされ、法令や障害認定基準で次のように定められています。

障害手当金(症状未固定では3級)両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの(普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆い得ない程度)
両眼の調節機能および輻輳機能に著しい障害を残すもの(複視や眼精疲労による頭痛等が生じ、読書等が続けられない程度のもの)
まぶたの運動障害のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで、作業等が続けられない程度のもの
眼球の運動障害のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため、片目に眼帯をしないと生活ができず、労働が制限される程度のもの
瞳孔の障害のうち、散瞳している状態で、瞳孔の対光反射の著しい障害により、羞明(まぶしさ)を訴え、労働に支障をきたす程度のもの

このうち特に眼瞼痙攣では、その程度が重く、「実質的な失明」と診断されているような場合でも、一時金である障害手当金しか認められず、不服申立てや裁判になっているケースもあります。難しい現状はありますが、ぜひ経験豊富な社会保険労務士に相談してほしいと思います。

障害者手帳の等級との比較

障害年金の等級と障害者手帳の等級は次のように異なります。

視力障害

  • 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下の場合、障害者手帳の等級は2級ですが、障害年金では1級になります。
  • 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下の場合、障害者手帳の等級は3級ですが、障害年金では2級になります。
  • 障害者手帳の4〜6級に該当する場合、数値により障害年金の3級か障害手当金になります。

視野障害

  • 障害者手帳の等級で2級か3級に該当する場合、障害年金では2級となります。
  • 障害者手帳の等級で4級か5級に該当する場合、障害年金では障害手当金相当です。

まとめ

眼の障害による障害年金の請求で苦労するのは、初診日の証明が取れない場合と、障害手当金相当で症状固定かどうかを争うケースなどです。

また、視力障害、視野障害ともに、障害年金の等級は、障害者手帳の等級より重くなっています。障害者手帳の等級から、障害年金に該当しないと誤解しないようにしましょう。

社労士 かこ

障害等級については、医師も誤解している場合がわりあい多いため、注意して下さい。

あわせて読みたい関連記事

障害年金を請求するための最初のステップ。障害年金の初診日について 障害年金の初診日で問題となる「相当因果関係」とは