脳出血や脳梗塞の後遺症による障害年金請求のポイントと注意点

社会保険労務士で産業カウンセラーの加賀佳子(@kako_sr)です。障害年金についての生きた情報をブログでお伝えしています。

今回は、脳出血や脳梗塞など脳血管疾患により、肢体の麻痺、失語症、高次脳機能障害などの後遺症が残った場合の障害年金請求について解説します。

脳血管障害の初診日

脳血管障害の初診日は、多くの場合、発症日と同じ日になると思います。

仮に糖尿病や高血圧があり、脳血管疾患の一因となっている場合でも、障害年金の請求上、両者は因果関係がないものと扱われています。

ただし、脳梗塞のうち、心臓にできた血栓が原因となる心原性脳梗塞の場合は例外です。この場合は、心疾患の初診日が、脳梗塞の初診日となるケースが多いため、注意して下さい。

障害年金の初診日で問題となる「相当因果関係」とは

症状固定と障害認定日について

障害認定日(障害の状態を認定する日)は初診日から1年6か月経過した日が原則ですが、脳血管障害の場合は、次のような取扱いとなります。

脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6か月経過した日以後に、医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき

ざっくりいうと、初診日から6か月経過後の「症状固定日」を障害認定日として請求することができます。

ただし、症状固定と認められるかどうかは年金機構の認定医の判断となります。そして、障害年金については、症状固定の判断が障害者手帳より厳しくなっていますので、注意が必要です。

こちら ↙ は診断書のうち、症状の固定について書いていただく部分です。

この欄の「傷病が治っている場合」に治った日の年月日の記載があり、かつ、その右側の「確認」か「推定」かについては「確認」に丸がつくことが、症状固定と認められることの大きな目安です。

曖昧な場合には、診断書を依頼する前に主治医の先生に確認しましょう。

また、リハビリをしている場合は、その目的が機能の回復なのか、現状の維持なのかも、ひとつの目安になります。機能の回復を目的としてリハビリをしている場合は、「回復が望めない」とは認められない可能性が高くなります。

MEMO
高次脳機能障害については、原則どおり1年6か月経過日が障害認定日です。

診断書のポイントと認定の基準

どのような障害が残っているかにより、選択する診断書が異なります。肢体の麻痺と失語症、あるいは高次脳機能障害など、複数の障害がある場合は、複数の診断書を提出することで、障害等級が上がる場合があります。

肢体の麻痺がある場合

疾患の部位により、右半身あるいは左半身に麻痺が残る場合が最も多いと思います。この場合は「肢体の障害用」の診断書を使用します。

参考 肢体の障害用の診断書を提出するとき日本年金機構

片麻痺による障害認定基準は次のとおりです。

  • 1級・・・一上肢及び一下肢について、日常生活動作の全てが「一人で全くできない場合」またはこれに近い状態
  • 2級・・・一上肢及び一下肢について、日常生活動作の多くが「一人で全くできない場合」またはほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
  • 3級・・・一上肢及び一下肢について、日常生活動作の一部が「一人で全くできない場合」またはほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」

肢体の麻痺の場合の留意点などこちら ↙ に詳しく書いていますので、ぜひご参照下さい。

身体の麻痺による障害年金の基準とポイント解説

失語症がある場合

失語症がある場合は、「聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用」の診断書を使用します。

参考 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害用の診断書を提出するとき日本年金機構

認定の基準や留意点などは、こちら ↙ からご覧下さい。

失語症も障害年金の対象になる!〜音声または言語機能の障害による障害年金の基準とポイント

高次脳機能障害がある場合

高次脳機能障害がある場合は、「精神の障害用」の診断書を使用します。

参考 精神の障害用の診断書を提出するとき日本年金機構

認定基準は次のとおりです。

  • 1級・・・高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
  • 2級・・・認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
  • 3級・・・①認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの または②認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
  • 障害手当金(症状未固定の場合3級)・・・認知障害のため、労働が制限を受けるもの

高次脳機能障害については、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の対象になります。また、他の精神障害での請求のポイントと共通する部分が多数あるため、以前書いたこちら ↙ の記事もご参照下さい。

精神・知的・発達障害での障害年金請求でおさえておきたい「等級判定ガイドライン」 うつ病など気分障害・統合失調症による障害年金請求で外せない「労働能力」と「日常生活能力」とは

病歴・就労状況等申立書について

ひとつの疾患により、診断書が複数になる場合でも、病歴・就労状況等申立書は1枚で大丈夫です。経過や困りごとなど、全ての障害について記入して下さい。

在職している場合は就労の状況(配慮を受けて就労している、休職しているなど)も必ず記入するようにします。

まとめ

脳血管障害の場合、まず、いつが障害認定日になるか(症状固定が認められるか)という問題があります。

また、複数の障害が残った場合に、1枚の診断書でいいのか、複数の診断書を提出した方が有利になるのかなど、判断が難しい場合があると思います。

そういった場合には、ぜひ社会保険労務士への相談も検討してみて下さい。

社労士 かこ

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